魔法のしっぽ4



 

 

 フィルスは簡単な薬から調合を始めた。

しかし、お客はほとんどこない。

「暇、ひま、ヒマ〜〜〜ぁ! なんでこんなに暇なの?」

「よう、フィルス」

「あら、シバーさんじゃない? 珍しい」

「どうだ店は?」

「見ての通り、暇よ? お客なんて全然こない」

「どうだ、うちの店で看板作ってるんだけど、いらないか?」

「看板?」

「どうも、殺風景過ぎだ」

「悪かったわね。殺風景で」

「おいおい、客人にたいしてそれはないだろう?」

「悪かったわね」

「でも、殺風景だと思うだろ?」

「確かにねぇ〜」

「じゃあ、商談成立だ。良い看板作っとくから」

「え、それで決まり?」

「こっちも商売ですから」

「ちょ、待って、ああ、行っちゃった。一体いくらするのかしら?」

 

 そこへサーラがやってきた。

「こんにちは、シャオン」

「こんにちは、サーラ」

「あんまり、繁盛してないわね?」

「そ、ごらんの通りね」

「そうだ、ギルドの新聞で紹介してもいいわよ?」

「ほんと?」

「でも、ちょっと頼みがあるんだぁ」

「な、なんですか?」

「うちの子が風邪ひいたみたいで、薬はないかしら?」

「ああ、それなら、このシャオンドラッグ第一弾のカゼナオールがいいわね」

「なんか、怪しいネーミングね」

「絶対に利きますよ。まず、風邪のウイルスを分析して、風邪に対する抗体を作り、その成分を生かして、このローズ草を主に使って、ゼミトクシンと化合して・・・・、」

「いいわ。子供の風邪が治ったら、記事にするわ」

「ありがとう。サーラいい人ね」

「お礼は、記事になってからね」

「うん!」

「じゃ、さよなら〜」

「さよなら〜」

 

翌日・・・

 

 「シャオンいる?」

「あら、フィルス。どしたの?」

「どうしたも、こうしたもないよ」

「何なの?」

「シバーにシャオンのお店の看板を作れって言われたんだ」

「ええ〜!」

「こっちは、剣の修行や炭鉱の仕事で忙しいのに大変だよ」

「ごめんね。シバーが勝手に決めたことだから、フィルスは作らなくていいわ」

「もう、できちゃったよ」

「できた?」

「はい、これ」

それは、見事な看板だった。錬金術のお店 シャロン シャロンの似顔絵までついている。

「けっこう、大変だったんだよ〜」

「ごめんね、でも、すっごい素敵な看板よ」

「そう?」

「うん。私はこんなの作れないから」

「気に入ってくれると嬉しいな」

「お礼はどうしよう?」

「いいよ。シバーから、もらってるから」

「そっか」

「でも・・・、」

「なに?」

「ちょっとだけ、」

「ちょっとだけ?」

「ううん、なんでもない・・・」

「何よ。男だったら、はっきり言ったら?」

「ちょっとだけ、シャオンとお茶を飲みたいかなぁ、なんて・・・・」

「今日はお店あるから、今度の休日ならいいよ?」

「ほんと?」

「うん」

「じゃ、じゃあ、約束したからね」

「じゃあ、海の見える公園で待ち合わせね」

「分かった」