魔法のしっぽ5
シャオンの店も看板をつけて少し見栄えがよくなった。
これを気にシャオンは爆薬を入れることにした。
炭鉱の街でもある、ここは、爆弾を使うことが多い。
フィルスの紹介で、フィルスの勤める炭鉱と契約を結んだ。
シャオンの店は、少しながら、知られるようになる。
ただし、「怪しいお店」というのがついているが。
店の休日。フィルスとのデートの約束だ。
シャオンはうっかり寝坊し、朝ごはんも食べないで、海の見える公園を目指した。
「あー、遅刻だぁ。フィルス帰っちゃったかなぁ?」腕時計を見た。
「もう、2時間も過ぎてる」
シャオンは、はあはあと息を弾ませ、約束の公園に辿り着いた。
周りには、小さな子供が遊んでいた。
きょろきょろと見渡しても、フィルスの姿はなかった。「はぁ、当然だよねぇ。
「お母さん、この子のお母さんはいませんか?」
見ると声の主は、フィルスが小さな子供をつれている。
「フィルス!」シャオンは、フィルスに駆け寄った。
「シャオン。着てくれたんだね?」
「その子、迷子なの?」
「うん、遊んでるうちにお母さんが分からなくなったんだって。な?」
「お母さーん!」
「じゃあ、お姉ちゃんが作った飴玉をあげるね?」シャオンは、ポシェットから、シャオン特製飴玉を子供にあげた。
「くれるの?」
「うん」
「こんな美味しいの、初めて食べたぁ。お姉ちゃんありがとう」
「いえいえ」
「良かったな。坊主」
「後は、お母さんね」
「ポポロ〜、ポポロ〜」と女性の声がする。
シャオンは女性に駆け寄り、「男の子のお母さんですか?」と訪ねた。
「はい。そうです。ポポロと言って・・・、」
「お母さん!」と、フィルスのそばにいた。男の子は女性向かって、走った。
「ポポロ。あなた達が保護してくれてたの?」
「まぁ、そうです。」
「ありがとうね。はぐれてしまって、どうしようかと思ったわ」
と、シャオンのお腹がグーっと鳴る。
「あら、お腹がすいてるのね? 良かったら、ご馳走しますよ?」
「いえ、これから、食事に行く約束なので、」
「あら、あなた達、付き合ってるのね。ごめんなさいね」
「そんなんじゃないですよ。ただの友達です」
「そうなの。じゃあ、ありがとうね」
「坊主、もう、迷子になるなよ?」
「うん、お兄ちゃん」
シャオンとフィルスの前を親子は立ち去った。
シャオン達は、お腹いっぱいに食べた。
特にシャオンが大食いで、フィルスを驚かせた。
「ずいぶん、食べるんだね。シャオン」
「うん、エンゲル係数高いの」
「そっか。・・・・、あのさ?」
「なに?」
「髪の毛はねてるけど、そんなに急いできたの?」
「え?」シャオンは頭を触る。
たしかに、はねている。
「寝坊したから、急いでて、」
「だから、朝ごはんを食べてなかったんだ?」
「うん。ずいぶん、食べると思ったよ」
「ごめんね、遅れて」
「ううん、ずっとあの坊主のお母さんを探してたし、いいんだよ」
「でも・・・、」
「いいんだよ。それより、もっと、爆弾が欲しいんだよ」
「なに? フィルスが使うの?」シャオンは意地悪に言った。
「ちがうよ〜」
「やだ、ムキになって」
二人は、なんとなく笑いあった。
そうして、フィルスとの時間は過ぎた。