空の時 14


 

 「美咲。どうして、東京に?」

「ちょっと、手続きにね」

「そっか」

「それより、泣きそうな顔してどうしたの?」

「ってか、その口調、どうしたんだよ?」

「変えたの。前に言われたでしょ?」

「う、うん」

「で、どうしたの?」

「なんでもないんだよ」、俺は無理に微笑んだ。

「彼女に振られたの?」

「どうして、千春のことを知ってるんだ?」

「前にメールしてたじゃない?」

「そんなこと、書いてないよ」

美咲は笑った。「かまかけてみたの」

俺は、しまったという表情をした。

「いいのよ。別に私達、付き合ってたわけじゃないし」

 そう聞くと、少し淋しい気がする。

「で、彼女とどうしたの?」


 俺は、ことのいきさつを話した。

「そっか、まずい時に電話したね。今から、誤解を解きにいこうよ?」

「い、いいんだよ」

「え、どうして?」

「俺は、美咲のことがずっと気にかかってる」

「あんた、何言ってるの? 今付き合ってるのは、その千春って子よ? ふざけないで!」

「ご、ごめん」

「とにかく、その子の家にいきましょう。話はそれから」

「う、うん」

 空を見あげると模崩れかけていた。