空の時 18



 いつもの屋上に雅人と千春がいる。

「先輩、私達、本当に付き合ってるんですか?」

その日は、千春のこの言葉で始まった。

「え、どうしたんだよ。千春ちゃん」

「先輩、いつも、誰かのことを思ってないですか?」

「何いいだすんだよ。俺達付き合ってるんだぞ」雅人は、ギクリとしながら、分からないと言うふうに返した。

「先輩、本当は、三咲さんのこと好きなんでしょ?」

「三咲とは、ただの友達だよ。そんな話もないし、千春ちゃんを大事にしろって、いつも言われてるよ」

「三咲さん、優しいから。本当は先輩のこと好きなのに・・・、私は邪魔なのにね」千春の目は少しうるんでいた。

雅人は、絶句した。

「付き合ってるはずなのに、キスしかしない。私って魅力ないの?」

「そんなことないよ。千春ちゃんを大事にしたいだけなんだ」雅人は言った。

「体に触れたいとか思わないんですか?」

「思うよ」

「嘘、」

「嘘じゃないよ。俺だって男だよ。千春ちゃんに触れたいと思うよ」

「じゃあ、今までどうして、触れなかったんですか?」

「それは・・・、」

「やっぱり、三咲さんですよね? 二人とも仲いいし、」

「千春ちゃん、俺は・・・、」

「先輩、無理しなくていいんですよ?」

「千春ちゃん」

「私これでも、もてるんです。先輩いなくても、大丈夫です」

「千春ちゃん、」

「今まで、過ごしてくれてありがと。もう充分です」

「ご、ごめん・・・、」

「さようなら」

「さよなら」

千春は、校舎へと続く扉を開いた。

雅人は、雅人は動けずに、授業をサボった。

 家に帰った雅人は、貯金を確かめた。

そして、今日会った出来事を美咲にメールで伝え。島根に行くと続けた。