あの日から、美咲は妊娠のことを気にしていた。
検査薬では陰性だったらしい。そして、今日、美咲がタバコを吸う場所で出会ったとき、にこりと「生理きたぞ」と言った。
「そっか。じゃあ、放課後、いつもの場所にいてくれる?」
「分かったよ」
俺は、美咲に言わないといけないことがあった。
きっと、受け入れてもらえると信じていた。
放課後、いつもの場所。
美咲は、お腹を押さえてやってきた。痛いらしい。
「痛いの?」
「ちょっとな。でも、病気じゃないから、気にすんな」
「あのさ、あの、俺・・・、」
「なんだよ。用がないなら、帰るぞ」
「俺、美咲を守りたいって、いうか、傍にいたくて、その・・、」
「ん?」
「僕と付き合ってください」
「同情はいらねぇよ」
「同情とかじゃないんだよ。初めて見たときから、気になってた。だから、付き合って」
「悪いな。あと3日で転校するんだ」
「そんな・・・、じゃあ、3日だけでも、それとも、メールとか」
「ったく、パソコンメールを教えてやるよ」
「ありがとう、俺もパソコンするんだ。それと、次の場所、住所分かったら教えて」
「なんだよ。ストーカーするつもりか?」
「い、いや、そんなんじゃないよ。ほら、年賀状とか遅れるし、ね、ね?」
「分かったよ。じゃあ、マジで痛くなってきたから、帰るわ」
「そんなの、保健室でいいよ。今日じゃないといけないことがあるんだ」
「ん? なんだ?」
「ま、まず、保健室に行こう」
そして、俺達は、保健室に行った。