空の時 5


 

 あの日から、美咲は妊娠のことを気にしていた。

検査薬では陰性だったらしい。そして、今日、美咲がタバコを吸う場所で出会ったとき、にこりと「生理きたぞ」と言った。

「そっか。じゃあ、放課後、いつもの場所にいてくれる?」

「分かったよ」


 俺は、美咲に言わないといけないことがあった。

きっと、受け入れてもらえると信じていた。


 放課後、いつもの場所。

美咲は、お腹を押さえてやってきた。痛いらしい。

「痛いの?」

「ちょっとな。でも、病気じゃないから、気にすんな」

「あのさ、あの、俺・・・、」

「なんだよ。用がないなら、帰るぞ」

「俺、美咲を守りたいって、いうか、傍にいたくて、その・・、」

「ん?」

「僕と付き合ってください」

「同情はいらねぇよ」

「同情とかじゃないんだよ。初めて見たときから、気になってた。だから、付き合って」

「悪いな。あと3日で転校するんだ」

「そんな・・・、じゃあ、3日だけでも、それとも、メールとか」

「ったく、パソコンメールを教えてやるよ」

「ありがとう、俺もパソコンするんだ。それと、次の場所、住所分かったら教えて」

「なんだよ。ストーカーするつもりか?」

「い、いや、そんなんじゃないよ。ほら、年賀状とか遅れるし、ね、ね?」

「分かったよ。じゃあ、マジで痛くなってきたから、帰るわ」

「そんなの、保健室でいいよ。今日じゃないといけないことがあるんだ」

「ん? なんだ?」

「ま、まず、保健室に行こう」


 そして、俺達は、保健室に行った。