美咲が保健室から出てきた。俺は、美咲の手をとり屋上に上がった。
俺は、文句をたれる美咲を促した。
「美咲、ここきてみ?」
「なんだよ。しんどいんだよ。休ませてくれ」
「ここは、最高のポイントなんだよ」
俺は、そこで、寝転がった。
そこには、星がたくさん瞬いていた。
「きれいだな。学校にこんな場所があったなんて」
「うん、俺も部活の帰りに見かけてさ」
「こんな場所もあと、3日でおしまいか」
「・・・、昼休みもいいよ」
「そうだな。よし、明日の昼休み、ここにこいよ」
「うん」
そして、昼休み屋上に上がった。
美咲は先についていて、タバコをふかしていた。
俺はかけつけるなり、「ごめん、待たせたね」
「別に・・・」とタバコの煙を吐く美咲。
「お詫びにこれ」と、コーヒーを美咲のほっぺに当てた。
「おお、気が利くな。コーヒーとタバコは合うんだ」とニコリとした。
その笑顔が嬉しくて、同時にこの笑顔をこれから見ることがなくなるのかと思うと悲しくなった。
「ん、どうしたんだ?」
「・・・ん、いや、別に」俺は、無理に微笑んだ。
美咲は、メモを差し出した「書いといたぜ、アドレスと住所」
「あ、うん。島根・・・、島根に行くの?」
「ああ、遠いな」
「う、うん。あ、でも、メールできるし」
「うん、そうだな」
しばしの間。
何を話していいか分からない。
「あ、あのさ。言葉づかい変えた方がいいんじゃない?」
「ん?」
「なんか、無理して男言葉話してるみたいだし、あ、えっと、ごめん」
「お前、謝ってばかりだな」
「ごめん」
「まただ」
「なんとか直すよ」俺は、笑った。
「俺も、少しはおしとやかになる努力するよ」美咲も笑った。
「あ、あのさ、」
「ん?」
そのうち、島根に行くよ。と言いかけた時、チャイムが鳴り、声はかき消された。
「またな」美咲は、屋上を後にした。
俺は、屋上を後にしたら、二度と美咲に会えないような気がして、5時間目の授業をさぼった。